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最終報告日 2017.03.07

7-4 公的扶助

7-4-1 生活保護

[解説]

  • 生活保護制度は、憲法第25条『生存権』を具体的にしたもので、その目的は生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、併せてその自立を助長する制度で、国民の最低生活保障と自立の助長を国家の責務として、国家責任・無差別平等・最低生活保障・保護の捕捉性の4つの基本原理と、申請保護・基準および程度・必要即応・世帯単位の4つの基本原則により実施されています。
  • 生活保護制度では現に保護を受けている人を「被保護者」、保護必要とする状態にある人を「要保護者」といい、保護の実施機関は福祉事務所となっています。
  • 生活保護は世帯を対象とし、保護の対象世帯(対象者)が生活する地域や世帯の構成、年齢によって国が定めた基準に則り支給されます。また、その世帯に収入がある場合は、最低生活費に足りない金額を補てんする形で支給を受けることになります。
  • 生活保護法による、扶助の種類は、生活・教育・住宅・医療・介護・出産・生業・葬祭の8つであり、必要に応じて単給、併給されます。
    なお、医療扶助と介護扶助は現物給付でそれ以外は金銭給付となっています。
  • 被保護者には生活保護法によって権利と義務が定められており、内容は公課禁止や届出の義務などがあります。
  • 生活扶助の基準は、基準生活費・各種加算・入院患者日用品費・介護施設入所者基本生活費・移送費および一時扶助から構成され、水準均衡方式によって算定されています。
  • 保護の実施機関である福祉事務所は、管内の被保護世帯全体の状況を把握した上で、被保護者の状況や自立を阻害する要因について類型化を図り、それぞれの類型ごとに取り組むべき支援の具体的な内容や手順を定めて、それに基づき被保護者に必要な支援を組織的に実施します。(生活保護受給者の自立支援プログラム
    ※ここでの自立支援は「経済的な自立」に加えて、「社会生活自立」「日常生活自立」を含むものとして捉えています。

 

[対象者]

  • 生活に困窮し生活保護が必要とされれば、国民のだれもが受給することができます。
  • 原則として外国人は適応外となりますが、人道的立場などから行政措置として一般国民に対する取り扱いに準じて必要な保護を実施しており、外国人の場合は外国人登録証明書が必要となります。医療費の支払いや就業にかかる訓練の費用など一時的な理由でも申請は可能です。

 

[窓口と申請方法]

窓口

居住地の福祉事務所

申請後の流れ

  • 申請後は1週間以内に家庭訪問調査や資力調査(ミーンズテスト)などが実施され、原則14日以内に生活保護の受給可否について決定通知がなされます(ただし、資力調査に日時を要するなどの場合は30日まで延長可能)。(表7-4-1-①)
  • 実施機関が行った保護の却下、保護の変更、保護の停止・廃止などの処分に不服がある場合は、不服申し立てをすることができます。

表7-4-1‐① 申請後の流れ



14日
(30日以内)

① 申請
 ⇩ 
保護の実施期間 (福祉事務所) へ申請

② 調査
 ⇩ 
原理・原則に基づいた受給資格の調査

③ 保護開始  保護の基準をみたせば、保護開始 

 

[補足]

  • 生活保護申請の際に、自動車は資産となりますので、原則として処分が必要ですが、障がい者の通勤・通院などに必要な場合等、自動車の保有を認められることもあります。窓口にてご相談ください。
  • 生活保護は、原則として世帯を単位として保護を決定・実施することとなっています。ただし、事情によっては世帯の一部の人だけ保護を受けることができる場合もあります。窓口にてご相談ください。
  • 以下は、[解説] [窓口と申請方法]内にでている単語の説明です。

 ① 憲法第25条『生存権』

すべて国民は、 健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活面について、社会福祉、社会保障、および公衆衛生の向上および増進に努めなければならない。

 ② 基本原理                     表7-4-1-② 基本原理

国家責任の原理
(生活保護法第1条)
憲法第25条に規定する理念により、国は困窮するすべての国民に対して、困窮の程度に応じて必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障し、自立を助長することを国家の責任であることを定めています。
無差別平等の原理
(生活保護第2条)
困窮の原因は問わず、要件を満たしていれば誰でも保護の受給ができることを定めています。
最低生活保障の原理
(生活保護第3条)
健康で文化的な最低限度の生活が維持できるよう保障することを定めています。
保護の捕捉性の原理
(生活保護第4条)
利用できる資産・能力(就業能力)の活用、扶養義務の履行、他の法律や制度の活用など、あくまで最低限度の生活を補足するための制度であることを定めています。

 ③ 基本原則                     表7-4-1-③ 基本原則

申請保護の原則
(生活保護第7条)
保護を請求する権利が保障されており、申請することが基本原則となります。ただし、保護を必要と判断される状況にある場合は、福祉事務所は職権で保護することができます。
(生活保護の開始日は原則的には申請が受け付けられた日からです)
基準および程度の原則
(生活保護第8条)
生活保護基準は、保護を要する人の年齢、性別、世帯構成別、所在地域別、その他保護の種類に応じて必要な事情を考慮した最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであり、かつ、これを超えないものでなければならないと定めています。
必要即応の原則
(生活保護第9条)
保護を要する人の年齢、性別、健康状態などその個人または世帯の実際の必要の相違を考慮して、有効かつ適切に行うものとされています。
世帯単位の原則
(生活保護第10条)
生活保護は、世帯を単位としてその要否や程度を定めています。しかしながら、状況によっては個人単位として定めることができるようになっています。

 ④ 扶助の種類                    表7-4-1-④ 扶助の種類

生活扶助 衣食やその他の日常生活に必要なものを購入する、いわゆる生活費です。原則1か月分以内を限度に世帯主に金銭給付されます。
教育扶助 義務教育の修学に必要な教科書をはじめとする学用品、通学用品および給食費、その他義務教育を受けるにあたり必要な経費です。教育を受ける人の保護者、親権者、未成年後見人または学校長に対し、金銭給付されます。
住宅扶助 借家の家賃や自己所有が認められた住居の維持にかかる修繕費などです。借家を借りる際の敷金もこれに含まれます。原則、金銭給付です。
医療扶助 最低生活に必要な治療の費用を現物給付(医療券の発行)されます。また、医療機関へ通院する際の移送費もこれに含まれます。原則、生活保護指定医療機関での利用に限られます。
介護扶助 介護保険法に規定する、要支援・要介護状態にある被保護者に対して、必要な居宅サービスが現物給付されます。
出産扶助 被保護者の出産に必要な分娩費用が金銭給付されます。
生業扶助 生計の維持または自立助長を目的に生業費用や技能習得費用、就職支度費用が金銭給付されます。高等学校就学費用も含まれます。
葬祭扶助 葬祭に必要な経費を、葬祭を行うものに金銭給付されます。

 ⑤ 権利と義務                    表7-4-1-⑤ 権利と義務

不利益変更の禁止 被保護者は、正当な理由がなければ、すでに決定された保護を保護の実施機関の裁量によって不利益に変更されることがありません。
公課禁止 被保護者は、保護金品を標準として租税などの公課を課せられることがありません。(非課税)
差押禁止 被保護者は、すでに給与を受けた保護金品、またはこれを受ける権利を差し押さえられることはありません。
譲渡禁止 被保護者は、保護を受ける権利を譲り渡すことができません。これは、被保護者に課せられた義務であると同時に、第三者への譲渡は無効であることを明らかにしています。
生活上の義務 被保護者は、常に能力に応じて勤労に励み、支出を節制し、その他の生活の維持、向上に努めなければなりません。
届出の義務 被保護者は、収入・支出や生計に変動があった場合、世帯の構成に変動がった場合などは、保護の実施機関へ届け出をしなければなりません。
指示などに従う義務 被保護者は、保護の実施機関が行う、生活の維持や向上など目的達成に必要な指導または指示を受けたときは、これに従わなければなりません。被保護者が従わない場合は、保護の変更・停止、または廃止がおこなわれることがあります。
費用返還義務 被保護者は、資力があるにも関わらず、保護を受けたときは、その受けた保護金品に相当する金額の範囲内において、保護の実施機関の定めた金額を返還しなければなりません。

 ⑥ 水準均衡方式

一般国民の生活実態と対比して妥当な水準に到達しているという認識のもと、当該年度の政府経済見通しにより見込まれる民間最終消費支出の伸び率を基礎とし、前年度の同支出の実績などを踏まえて所要の調整を行い基準算定するものです。

  生活扶助の基準額
    • 生活扶助の基準額は被保護者の居住地や年齢および世帯人員により、3級地6区分に分けられています。
    • 1級地は大都市部、2級地は都市部、3級地はその他市町村となっています。
      また、第1類費は食費や被服費などで年齢別に区分があり、第2類費は高熱水費や家具什器(じゅうき)などで世帯人員別に区分されています。
    • 加算は障がい者加算や妊婦加算などがあります。
    • 生活保護における生活扶助基準額の算出方法(平成28年度)
       お住まいの地域の級地を確認 生活扶助基準額について(厚生労働省ホームページ)
年齢別区分
第1類費
(食費、被服費など)
世帯人員区分
第2類費
(光熱水費、家具什器など)
各種加算
生活扶助

図7-4-1-⑥ 生活扶助の区分

   

 ⑦ 不服申し立て(8-3-2)

    • 生活保護の実施機関が行った保護の申請却下、保護の変更、保護の停止・廃止などの処分に不服がある場合は、処分があったことを知った日の翌日から60日以内(平成28年4月~3か月以内)に都道府県知事に対して審査請求を行うことができます。
    • 審査請求を受けた都道府県知事は、処分を審査したうえで、50日以内に裁決を行います。なお、審査請求を行ってから50日以内に都道府県知事の裁決がなかったときは、その審査請求が棄却されたとみなされます。
    • さらに、都道府県知事の行った裁決に不服がある人は、採決があったことを知った翌日から1月以内に厚生労働大臣に対し、再審査請求をすることができます。なお、再審査請求があったときは、厚生労働大臣は70日以内に裁決をするよう定められています。
    • 生活保護法に関する処分取り消しの行政訴訟は、原則、処分につき審査請求に対する都道府県知事の裁決を経た後でなければ提起することができません。(審査請求前置主義)
  • 居宅において生活を営むことが困難な要保護者を入所または使用させる生活保護法に基づいた施設が5種類あります。

表7-4-1-⑦ 施設の種類

救護施設 心身の障がいのため、日常生活が困難な人に対して生活扶助を提供
更生施設 心身の障がいのため、養護・生活指導が必要な人に対して生活扶助を提供
医療保護施設 要保護者に対して、医療扶助を提供
授産施設 要保護者に対して、生業扶助(就業や技能の習得)を提供
宿泊提供施設 住宅のない要保護者(世帯)に対し、住宅扶助を提供

 

[根拠法]

生活保護法

 

[リンク・参照ホームページ]

厚生労働省ホームページ >> 生活保護制度
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/seikatuhogo/index.html

 

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